JPEG画像レタッチ作業 (暗室作業)の事例紹介



平成16年3月1日   文責:平井寛 兵庫県加古川市


   1.    【まえがき】


   フィルムカメラでは、焼き増しを頼んで出来上がって来たものが、前回の プリント写真と色や明るさが違っていたということを、ほとんどの方が経験されているのではないでしょうか。 ごく一部の人を除き、DPE(現像・焼き付け・引き伸ばし)は、カメラ店任せで、出来上がったものに不満があっ ても余程でない限り、クレームをつけることは遠慮してしまいます。単に、家族や友人との記録写真ということ で割り切ってしまえばそれでも良いのでしょうが。写真を趣味で楽しもうとすると、納得のいく写真を自分で、 作りたいという欲望が生まれてきます。

   デジカメの普及は、私たちに、撮る楽しみと同時に、作る楽しみも提供し てくれたと言えるでしょう。そして、ネット環境は、HPやメルマガを通じて、苦労して?撮った(作った)写真を不特 定多数の多くの方に見ていただく楽しみも与えてくれました。

   もう30年以上前になりますが、アルバイトで稼いだ金を、せっせと暗室道 具に注ぎ込み、カラープリントに取り組んだ時期があります。当時は、フィルムからの引き伸ばし写真は一般に 手焼きと称し、暗室の中で、引き伸ばし機(スライド映写機を縦置きしたようなもの)で、フィルムとレンズの間 に、濃淡のある透明な光の3原色のフィルターを組み合わせて入れ、色補正や印画紙への露光の明るさ(光の強度)と 露光時間を種々変えて、印画紙に焼付けて写真を作ったものです。条件を変える都度、ためし焼きをするわけで すが、20℃に調整した、第1現像液―停止液―第2現像液―-停止液・・と12個ほどのバットを並べて順番に、 印画紙の現像処理していきますから、1つの試し焼きの結果が確認出来るのに30分以上かかりました。これを10回 、20回と繰り返し最適な焼きつけ条件を決めてから本焼きを行い、1枚のプリント写真が出来上がります。1枚の 写真で徹夜もしばしばでした。またゴミ・傷は、細い筆でカラーペイントを使って点描で修正していましたし、 部分的な、覆い焼きでハイライト部が飛んでしまうのを防いだり、暗部を焼き込みで描写を復元したり、印画紙 の硬調、軟調で画質を補正する等・・色々と工夫が必要でした。

   デジカメ写真では、上記と同等のことが(回転・歪み補正、色補正、彩度 補正、明暗補正、コントラスト補正、ガンマ補正、ゴミ・傷の補正、トリミング、サイズ変更等)、レタッチソ フトで10分も掛からずにパソコンの中で出来るわけですから、隔世の感を抱きます。このような便利な道具を使 って、撮る楽しみとともに、写真を作る楽しみも享受していきたいものです。余談ですが、2〜3年前には、デジ カメ写真のコンテスト応募はレタッチ無し・・等の記述を見かけましたが、今は、見かけなくなりました。極端 なデフォルメでない限り、フィルムでの手焼き写真と、デジカメのレタッチ写真とは、同等という社会での認識 が浸透してきたものと思われます。ただ、コンテスト等に出品されているフィルム写真の大半の作者は、自分で プリント出来ませんから、DPE店で、彩度・明暗・コントラスト・カラーバランス・焼き込み・覆い焼き・トリ ミング程度を指定してプリントされていると思います。コンテスト出品作品はこの程度のレタッチに留めておく ことが礼儀かもしれませんね。


   2.    【レタッチ事例】

   原画像から、レタッチで仕上げた作品を紹介致します。レタッチでは、自 分が写真を撮ったときの感動や意図を忠実に表現するのが基本と考えます。そしてそれを強調する為に、明暗、 コントラスト、彩度補正、シャープ、アンシャープ加工や、トリミングによって、余分なスペース等をカットし て作品に仕上げます。見る人がどう感じるかを想像しながら、見る人の視覚にうったえる写真を作ることが大切 だと考えています。レタッチ【暗室作業】は写真の完成度を高めるための作業だと言えるでしょう。

   フィルム写真でも印画紙を丸めて画像を変形させたり、2枚のフィルムを重 ねたり、2度焼き付けを行なって、線刻画風に仕上げたり、夜景に月を写しこんで、幻想感のある写真を作る等の 加工は簡単に行なえますから、個人的にはポスターに使用する程度のデフォルメは写真として許容しても良いので は・・と思っています。

   尚、筆者が通常行なっているJPEG画像のレタッチ作業の手順と使用してい るレタッチソフトは下表の通りです。元画像によっては一部使わない補正もありますが、基本的にはこの手順で 写真を作っています。

手順

レタッチ項目

レタッチ内容

常用のレタッチソフト

回転・歪み補正

縦写真の場合の画像回転。水平・垂直の傾き修正、建物の傾き・歪み修正(意図的に傾ける場合を除く)

オリンパス

CAMEDIA Master 1.0

 

ガンマ補正

特に暗部の描写が必要な場合に使用、+補正で眠たい画像になるため、コントラスト補正と併用。粒子の荒れ補正(-補正)にも使用出来る。

明暗補正

画像全体の明るさを補正。コントラスト補正と併用

コントラスト補正

+補正で画像の明暗を強調。

シャープ補正

 

色相・彩度補正

色の濃淡、鮮やかさを補正。

Adobe Photo

Deluxe HE3.0

カラーバランス補正

青・赤・緑の色バランス調整

ゴミ・傷・粒子荒れの除去

ゴミ・傷のソフトによる自働除去。粒子荒れの除去にも効果有り。

シャープ補正

8の補正作業でピントが甘くなることが有り

+補正で復元

10

トリミング

不要部分(周囲)を除き、意図する画像部分を切り出す

11

不要物の修正(除去)

大きなゴミ(画像素子上のゴミ・欠陥に起因)や、電線等特に気になるものの除去。

12

サイズ変更

投稿用・プリント用にリサイズ

13

シャープ補正

サイズダウンでのシャープ低下復元

14

撮影データー記入

画像へのテキスト記入

15

ファイルの圧縮

投稿用は50KB以下程度にJPEGファイルの圧縮

デジカメの達人

   注1、ガンマ、明暗、コントラストは組み合わせて使うと、より細かい調 整が出来ます。
   注2、彩度補正と、カラーバランス補正は組み合わせて使うと良いでしょう。

   3.    事例1


image001.jpg

   ○       左は富士川からの富士ですが、雪の富士山が白飛びしないよう露出を マイナス補正して撮っています。下はレタッチ後の写真です。富士の山襞や空の雲が白飛びせずに綺麗に表現出来 ています。
   ○       右はトビですが、空の雲も入れたくてこれもマイナス補正で撮ってい ます。普通に撮ってもトビの下側は露出不足で黒くつぶれますが、ガンマ補正を特に利かせて羽の描写を出してみ ました。

   4.    事例2


image002.jpg

   ○       左はほぼ適正露出の元画像ですが、下はガンマ補正を少し利かせ、コントラストを調整することで曇り空で撮 った羽毛の光の描写が浮き上がってきています。
   ○       右は温室内で撮ったものですが、赤と緑が少しくすんでいます。彩度補正、カラーバランスの赤を 強調したのが下の画像です。

   5.    事例3


image003.jpg

   ○       雲の切れ目から朝日が少し顔 を出した頃合に朝日をバックに雪の木立を撮ったものですが、これも露出アンダーの写真です。元画像は、眠た い感じの写真ですね。右は、ガンマ補正と明るさをマイナス補正後コントラストを利かせ、背景の雲と朝日の描 写に重点置いたレタッチです。右下は元画像を普通に処理したものです。左下は、雪の木立の描写に重点を置い たものです。好みも有りますが、色々試して見ることも大切です。

   6.    【最後に】

   以上レタッチ【暗室作業】について筆者の考え方と事例について紹介させ て頂きましたが、撮った写真がレタッチに耐える画質であることが前提になります。露出過度の写真はレタッチ でも回復は困難です。筆者は、フィルム時代の経験も踏まえ、通常、露出はアンダー気味に、コントラストはフ ラット気味に、彩度は普通に、シャープはプラスにカメラを設定して撮っています。
   最近のカメラは、種々の撮影モードの設定が出来ますが、レタッチをベースに考えれば、せ いぜい、人物、風景、夜景 程度の設定機能があれば充分だと考えています。機能豊富でも、多分筆者は、使い こなせないでしょう。

   以上